ボクシング 井上尚弥が悪童ネリをKO粉砕! 東京ドーム観衆総立ち アジア選手初の4団体王座防衛

プロボクシング4大世界タイトルマッチ(6日、東京ドーム)34年ぶりの東京ドーム興行は観衆4万3000人を集めて行われ、日本人としては初のメインで闘った4団体世界スーパーバンタム級統一王者の井上尚弥(31)=大橋=が、元世界2階級制覇王者でWBC世界同級1位のルイス・ネリ(29)=メキシコ=に6回1分22秒TKO勝ち。プロ27戦目で初めてダウンを喫する場面もあったが、アジア選手初の4団体王座防衛を果たした。

爽快なKO劇に、東京ドームの4万3000人が総立ちとなった。6回だ。井上尚の右ショートパンチがネリにヒットすると、後方にはじき飛ばされた頭がロープに当たり、そのままキャンバスに撃沈。井上尚はコーナーに駆け上って感情を爆発させた。

「すごくプレッシャーはあったが、皆さんの力が僕のパワーになりました。皆さんが満足する試合だったと思う」

1回、ネリの左フックを浴び、ダウン。過去のプロ26戦、アマチュア時代の81戦を加えても一度もなかったキャリア初のダウンを奪われた。だが2回に左フックでダウンを奪い返すと、パンチを見切り、4回にはノーガードで挑発。肩で息をするネリとは対照的に、笑みを浮かべながら5回にショートの左フックでダウンを追加すると、6回に一気に試合を決めた。

「倒した瞬間はいつになく最高な気持ちだった。1ラウンド目のサプライズ、たまにはいかがでしょうか」。試合直後のリングでのインタビューではキャリア初の屈辱も笑い飛ばして見せ、「(ダウンの)ダメージはさほどなかった」と胸を張った。

〝悪童〟ネリは2017年の山中慎介戦で4回TKO勝ちし世界王座を獲得したが、試合前のドーピング検査で陽性だったことが発覚。18年の山中との再戦では体重超過した。再戦を現地観戦していた井上尚は「ファンの気持ちを受け止めていた」と因縁を十分に理解。この試合にかける思いも強かった。

昨年12月に史上2人目の2階級での4団体統一を達成。昨年は日米メディアなどの男子年間最優秀選手賞で「9冠」となり、34年ぶりの東京ドーム開催を実現させた。1988年と90年にヘビー級王者、マイク・タイソン(米国)がメインを務めた例はあるが、日本選手は初だ。

WBCライトフライ級で世界王座を初めて獲得してから10年。31歳になり、「ここからは本当に自分のためにやらないと足をすくわれる」との思いが強くなった。かつてはボクシング界のためにとバラエティー番組にも出演していたが、昨年からすべて断り、ボクシングに集中している。

試合後にはIBF、WBO1位のサム・グッドマン(25)=オーストラリア=がリングに上がり、井上尚は「次戦9月頃、サム・グッドマンと防衛戦をしたい。これから交渉していきたい」と宣言。〝モンスター〟の闘いは、今後も話題沸騰のビッグマッチの連続となる。(尾﨑陽介)

2024-05-06T23:53:31Z dg43tfdfdgfd