レッドブル離脱のニューウェイはどこへ行く……アロンソとホンダが待つアストンマーティン? それともハミルトン加入のフェラーリ?

 motorsport.com/Autosportが報じたように、レッドブル・レーシングでチーフテクニカルオフィサー(CTO)を務めるエイドリアン・ニューウェイがチームの退団を決意したようだ。その背景にはレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表を巡るスキャンダルや陣営内での覇権争いが関係していると言われている。

 では“空力の鬼才”と謳われるニューウェイは19年間勤めてきたレッドブルを離れてどこへ行くのだろうか?

 イギリス・ミルトンキーンズ、ブラッドボーン通り3番地にあるレッドブルのファクトリーを出て、左折して約40km先にあるアストンマーティンF1のファクトリーを目指すか、それともロンドン・ルートン空港からイタリア・ボローニャ行きの飛行機へ乗ってフェラーリの看板を目指すか……考えられうるシナリオはこのふたつだろう。

 現在65歳のニューウェイとしては、F1に別れを告げ、最も成功を収めたレーシングカーデザイナーとして当然の褒美を得て、黄金色の引退生活に浸ることもできるだろう。しかし情熱を仕事に変えることができた幸運な人生をおくる者にとって、キッパリと足を洗うことは容易ではない。特に今も他チームが手を付けられないほど強力なチャンピオンマシンを世に送り出し続けているデザイナーなら尚更だ。

 そしてニューウェイは次なるステップへ進みたいと考えている。彼の目の前にあるふたつの道はどちらも同じゴールに続いているが、シナリオは異なる。

エイドリアン・ニューウェイCTOとクリスチャン・ホーナー代表。レッドブル退団の交渉をしていた?

写真: Erik Junius

 3月にmotorsport.comが報じたように、アストンマーティンはニューウェイに加入のオファーを提示。こちらにサインすれば、ニューウェイのキャリア初期にアメリカで過ごした期間を除いて、彼の永住の地であるイギリスから他国へ移住する必要がなくなる。

 そしてアストンマーティンはオーナーであるローレンス・ストロール主導のチーム改革を続けており、技術陣にニューウェイが加入するとなれば、強力な体制が出来上がる。

 しかし、フェラーリ加入という“誘惑”もある。F1パドックでは以前から、フェラーリ会長のジョン・エルカンやチーム代表のフレデリック・バスールが獲得に興味を示しているという噂がある。そしてフェラーリが興味を示したのはこれが初めてではない。

 フェラーリはこれまでニューウェイに話を持ちかけてきたが、2度の事前面談より先に進んだことはなかった。しかしルイス・ハミルトンが2025年からフェラーリへ移籍するのを決断したのと同様に、ニューウェイにとっても今回が最後のチャンスであることは間違いない。

 赤いユニフォームに身を包みキャリアを終えることは間違いなく魅力であり、16年途絶えているタイトル獲得に向けて動くマラネロへ合流するには相応しいタイミングだ。フェラーリとの契約は、ニューウェイにとってキャリア最後の総仕上げになるだろう。

 金銭的に最も魅力的なオファーという点ではおそらくアストンマーティンだろうが、ニューウェイの懐事情とキャリアを考えると金額はあまり問題にはならない。むしろアストンマーティンに揃う勝利の要素が彼を惹きつけるのかもしれない。

 アストンマーティンは野心的なオーナーのもと、チーム改革を推進。シルバーストンに最新鋭のファクトリーを構え、次世代レギュレーションが始まる2026年からはホンダのワークスパワーユニットを手にする。そしてフェルナンド・アロンソも先日チームとの契約延長を決めた。

 ニューウェイは現在もレッドブルでホンダ(ホンダ・レーシング/HRC)と仕事をし、これまでのキャリアで交わることがなかったアロンソには常にリスペクトを示していた。

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 フェラーリへ移籍することとなれば、それはハミルトンと共に仕事をすることを意味する(ニューウェイにとってはこちらも長年の夢だ)が、イギリスという慣れ親しんだ地から一歩踏み出すことになる。しかしニューウェイともなれば、フェラーリに再び世界タイトルをもたらすことが何を意味するか十分に理解しているはずだ。

 それもまた、ニューウェイの頭の中にあることだろう。間違いなく簡単なことではないが、非常に魅力的に映るに違いない。

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