高安が“甥っ子”大の里に連日の胸出し おしどり夫婦、ギター&ピアノ弾き語り…今を語り尽くす

大相撲で大関経験者の前頭高安(34=田子ノ浦)が、出身の茨城県で行われた春巡業で、集まった約4200人に大歓声で迎えられた。26日、水戸市での巡業で、茨城・土浦市出身の高安が土俵に立つと、ひときわ大きな歓声が起きた。取組で前頭熱海富士を寄り切って破ると、地元の小学生は大興奮。立ち上がって拍手を送るなど、大喜びの子が続出した。高安は「茨城は相撲熱が高いので、ありがたいですね」と感謝した。

トークショーには、同じく茨城県出身の十両武将山、天空海とともに参加したが、特に質問が集中したのは高安だった。好きな女性のタイプを聞かれると「妻が大好きです」と、夫人で演歌歌手の杜このみとの仲の良さをアピールして拍手を浴びた。

これに地元ファンは触発されたのか、さまざまな人から「奥さまのどんなところが好きですか?」「今日は奥さまは来ていますか?」「奥さまとはどこでデートしますか」「お子さまは、どちらに似ていますか?」など、プライベートに迫る質問をグイグイと投げかけられた。それでも高安は、嫌な顔一つせず「歌がうまいところが好きです。自分も歌うことが好きなので。それで仲良くなりました」「今日は(夫人は)来ていません」「結婚する前はカラオケに行ったり、焼き肉に行ったり。今は家族で出かけたり」「子どもは2人とも(夫婦の顔を)足して2で割ったような顔。どちらにも似ているのでかわいいです」と、NGなしで答え続けた。

高安は「プライベートのことまで知っていただいて、ありがたいですね。ファンの方に『会えてうれしい』と言ってもらえるのが、素直にうれしいですね」と、柔和な表情で話した。

水戸市には3歳まで住んでいて「両親がやっていたレストランが入っているビルを見かけて懐かしかった」と、今も当時の記憶が残っているという。水戸市入りした前夜は、両親らと夕食をともにした。「つかの間のだんらん。いい気分転換になりました」と、笑顔で話した。この日、応援に駆けつけ、観戦したフィリピン出身の母ビビリタさん(62)は「いつもLINE(ライン)で『頑張って』とメッセージを送っています。ケガがないことだけを祈っています」と、平成生まれ初の十両、幕内など、世代の先頭を走り続けてベテランとなった今も、心配が尽きない様子で話した。

朝稽古では、千葉・木更津市で行われた前日25日の巡業に続き、ぶつかり稽古で前頭大の里に胸を出した。大の里は、兄弟子だった元横綱稀勢の里(現二所ノ関親方)の弟子で、いわば“甥っ子”にあたる存在だ。大の里は、20歳未満の幕下以下力士との飲酒で、今月22日に日本相撲協会から厳重注意を受けたばかり。前日の約7分間に続き、この日も約3分間と、2日連続で長めに胸を出して稽古をつけた。

高安は「彼は大丈夫。辛抱して相撲に集中してほしい。力士は土俵が一番。土俵のことをしっかりとやって、お客さんに応援してもらう。それが一番ですから」と、2日間、胸を出した狙いを語った。髪を振り乱し、砂まみれになって高安に向かっていく姿を見たファンからは「大の里、行けー!」「頑張れー」などと、大声援が起きていた。茨城県に構える二所ノ関部屋所属の大の里に、茨城県のファンが応援したくなるようなシチュエーションをつくり出した“おじ”としての愛情だった。

これには大の里も「ファンの方の声援が身に染みました。高安関には感謝しかないです。(各地の)支度部屋では、常に明け荷を近くに置かせていただいて、足首を痛めた時はケアの方法も教わった。いろいろと学ばせていただいてます」と、しみじみと心からの恩義を語った。

高安は3月の春場所で11勝4敗、優勝次点の好成績を収めた。1月の初場所で場所前に稽古しすぎ、稽古総見では大関陣を次々となぎ倒す絶好調ぶりを見せながら、本場所は2度も途中休場した。「3月は『無理せず』という調整がハマった。気合が乗ってくると、稽古をやりすぎる、ほどよく、自制しながら工夫してやった方がいいと分かった」と、オーバーワーク調整からの脱却で光明を見いだした格好だ。

夏場所(5月12日初日、東京・両国国技館)は「ケガせず15日間、皆勤したい。いい相撲を取って優勝争いに加わりたい。『優勝する』と言うと硬くなるから(笑い)。ポジティブに考えて頑張りたい」と、自らに高いハードルを掲げがちだった以前と比べ、良い意味で肩の力が抜けている印象を残した。現在は楽器をたくさん所有している夫人の影響で、自宅でギターやピアノの演奏を行い「数曲」は、弾くことができるようになり、弾き語りまで行うこともあるという。1つの負けを引きずる傾向にあった以前とは、公私ともに大幅に変わった先に、悲願の初優勝が舞い込むかもしれない。【高田文太】

2024-04-26T10:02:36Z dg43tfdfdgfd